DINKS・選択子なし・共働きの統計まとめ

DINKS(選択子なし共働き)に関するデータは、とても少ないです。国にとって得する事象でもないからでしょうか。

DINKS当事者として、仲間がどれくらいいて、今後増えるのか・減るのか気になったので調べてみました!

まとめてみると
  • DINKSは少ないがDINKS希望者は増えている。でも将来的には減るかもしれない。
  • 家族を持つことへの負担感は増え、不可抗力で子どもを持つ人も増加しているかも
  • 結婚=子どもの価値観は薄れて、多様性の時代が本格化

政府系機関の情報のみを頼りに、DINKSの情報をまとめます。ここから下の情報の出典は全て国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によるものです。情報は正しい数字を掲載していますが、どこをピックアップするのかは私の自由です。ニュースと同じですね。ということで、あくまでDINKS、子どもを産む・産まないという観点に固執した視点から情報を見ていきます。

DINKS(選択子なし)は統計上どれくらいいるのか

残念ながら、直接的なDINKS(選択子なし)の人口の調査はなく、統計情報はありません。子どもが欲しいかという意思が含まれるので、調査は難しいのでしょうね。子どもが欲しくなくても妊娠したらほしくなるケースもあるようですし、人の心は移り変わるのでDINKSの統計が意味がないことはうっすらわかります。

それでも、私はその人数を考えたい。私が国立社会保険・人口問題研究所の統計を基に、いろいろ計算して想定したところでは、DINKS人口は約11万人で、日本の0.1%がDINKSであると言えるのではないかと思います。(2015年時点)※2022年現在の最新統計が2015年のもの

以下の3つのデータと5つの仮説を基に計算しました。
「子なし共働き」まではデータがあるのですが、そのうちの一部は、結婚したばかりで今後子どもを産む予定の人が含まれるはずです。その方々を除いて「子ども産まない子なし夫婦人口」を出したいと思い、算出したものです。
データは政府公式のものですが、仮説が多く、壮大なずれがあること間違いなしなのと、計算過程の問題で見当違いな数字だったら申し訳ありません・・・。(算数は苦手)

▼公式に出ているデータ(出典:https://www.ipss.go.jp/index.asp)
①就業状況別の子なし世帯数(人口統計集2015年より)
②夫婦のみ世帯の女性の年齢分布(人口統計集2015年より)
③未婚18歳~34歳のうちDINKSになるだろうと予想した人の割合(出生動向調査の予想のライフコース2021年より)

▼計算するために作った仮説
・45歳以上の女性は子どもを産まないとする※出生動向調査に45歳以上女性はほとんど産まないと記載あり
・子なし世帯のうち子どもを産まない世帯と仮定した世帯はすべてDINKSとする
・子なし世帯のうち「夫婦ともに非就業世帯」は全て高齢者世帯と仮定
・子なしの共働き世帯と専業主婦(夫)世帯の女性の年齢分布は同じと仮定
・子どもを産める子なし世帯のうち、DINKS予想者割合分(4.9%)は子どもを産まないDINKS確定世帯と仮定
※本当のDINKSの定義は、子どもを持つことを「望まない」子なし共働き夫婦です。

子なし共働き世帯数を統計でみる

さて、DINKSという観点での数字を出すのは難しいというか、情報がありませんでしたが、子なし共働きはは政府の統計情報があります。予想通り、全体の世帯数からすると少ないです。

2015年が最新データなのですが、約400万世帯、つまり人数で表すと800万人が子なし共働きの人口でした。2015年の情報で増加傾向があるとはいえ、1000万人には届かないのが日本の子なし共働き人口だということが統計から分かります。これはたんに子どもが「まだ」いない夫婦が含まれてしまっているので、残念ながらDINKSをカウントするのには使えません。

ちなみに、紫のその他が増えているのは高齢化の影響で夫婦ともに非就業が増えたからだと思われます。また、専業主婦(夫)は子どもの有無は問わないとしています。

出典:https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2021.asp?chap=7

DINKSは増加、でも将来は減少かも

出生動向調査を見ると、子どもを持つか持たないかの選択がほぼ終了したと言える、結婚持続期間が15年~19年の子どもを産んだ人数0人、つまり、子なし夫婦は年々増加しており、2015年は6.2%だったのが、2021年では7.7%(+1.1ポイント)に増加しています。

例えば2005年の平均初婚年齢の31歳で結婚したとして、結婚持続期間15年となると46歳なので、今の私と同世代である30代の今後、DINKSや子なしを貫く人がどれくらいいるのか興味があります。

一方、結婚持続期間が5~9年の夫婦では、2010年から子ども0人の夫婦は徐々に減っており、2010年に13.8%だったのが2021年では12.3%(-1.5ポイント)に減少しています。結婚後は早々に子どもを作って、子なしで長期間過ごす人が減っているのが分かります。前述のようにDINKS希望は増えている傾向がありますが、現実的には結婚すると早めに子どもを持つことが多く、将来はDINKSは減るのかもしれません。

DINKSを希望する人は女性7.7%、男性5.5%

DINKS希望の有無についても、統計データがあります。出生動向調査の未婚者の「理想のライフコース」から考えてみます。

理想の人生として、DINKSを希望している人は女性で7,7%、男性で5.5%でした。18歳~34歳の未婚者への調査であり、国の機関の調査なので統計の数字は結構あてになると考えます。

調査では「理想」のライフコースと、「予想」のライフコース、つまり、理想とは違うけどたぶんこうなるだろうというライフコースを調査しています。「予想」のライフコースは女性だけの調査で、DINKS予想は4.9%でした。つまり、一部はDINKSを望んではいながらも、自分の気持ち以外の「なにか」で子どもを持たざるを得ないことになるだろうと思っている人がいるのがわかります。

不可抗力で子どもを持つ人が増加

出生動向調査の「夫婦の子どもを持つ理由」では、「夫や親など周囲が望むから」と回答した割合は徐々に増加しており、20年前は10.4%だったのが2021年では14.1%(+3.7%)となっています。

ライフコースとこの子どもを持つ理由から、望まずして不可抗力により子どもを持つ人が一定数いるのではないか、と考えられますね。

ちなみに、夫婦の8割が「子どもを持つ理由」に「子どもがいると生活が楽しく心が豊かになるから」と回答しています。これは20年の調査期間中、不動の子どもを持つ理由のトップです。

これらの価値観が「結婚=子ども=幸せ」を押し付けてくる社会を作っているように感じます。社会の8割と考えるとかなりの多数派ですが、一方でそうも思っていない人がいることも忘れてほしくないですね。

子どもを持つことが自然と考える人は激減

出生動向調査を読み進めてみると、過去の1987年調査から最新の2021年の情報まで、日本人の価値観は大きく変動していることがよくわかります。

「結婚=子ども」の価値観は薄れている

未婚者の子どもを持つ理由は2015年から2021年で、「結婚して子供を持つことが自然だから」と回答する人が激減しました。男性は48.1%から33.5%(-14.6ポイント)に、女性は38.8%から23.8%(-15ポイント)になりました。

結婚している夫婦に対する「子どもを持つ理由」の調査では、「結婚して子供を持つことが自然だから」という回答は2005年(59.6%)からずっと減少しており、2021年は33.8%になりました。

また、自分がどうではなく、「価値観」としての調査で「結婚したら子供を持つべき」という価値観は、2021年の調査で大幅に減りました。2015年の調査と比較してみましょう。未婚の男性では75.4%から55.0%(-20.4ポイント)、未婚の女性では67.4%から36.6%(-30.8ポイント)、既婚の女性では66.6%から45.8%(-20.8ポイント)になっています。

どの視点からとらえても、「結婚=子ども」の価値観は当たり前ではなくなっていることが分かります。それでも、結婚したら子供を産む、一人目を産んだら二人目、という呪縛に社会はとらわれ続けている気がするのは、私に負い目があるからなのかもしれません。個々人の視点で見ると、意外にも子どもが当たり前という価値観が消えつつあるのだと思い知らされました。

結婚の目的は心の安らぎに

結婚の利点で最多数だったのは、女性は自分の子どもや家族を持てる(39.4%)、男性は精神的な安らぎの場が得られる(33.8%)でした。6年前の2015年の統計では、自分の子どもや家族を持てると回答した人は女性49.8%(女性の最多回答)、男性は35.8%(男性の最多回答)だったので、女性で家族を求める人は10%減り、男性はより心の安らぎを結婚に求めるようになったことが分かります。

ちなみに「現在愛情を感じている人と暮らせる」という回答が、女性は30年前の約23%から減少し続け14%になったのと比較して、男性は16%~13%をうろうろし、直近では1%ちょっとUPしている状態です。

この状況を見ると、女性は年々独立した気持ちが高まって、男性は愛情を求める傾向が一定あるものなのかなと思いました。この考察は自分でもあまりしっくり来ていませんが。いまだに家族を持てることを重視する人は多い一方で、その他の価値観の移り変わりがあるのは興味深いです。

家族を養うのは負担

独身の利点は「行動や生き方が自由」がトップで、男女ともに7割以上が最大の利点としています。「家族を養う責任がなく気楽」が男女ともに数%増加しており、家族を養う負担感が大きいと感じる人が多くなっているようです。(男性では1%、女性は5%増加)ちなみに、これは良く言われている「経済的」な負担問題ではありません。お金がないからという理由の回答者は、年々減っていますので価値観の問題である認識です。

一方、独身の利点として「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」と考える人は年々減っています。また、別視点の調査における独身の生活スタイルの傾向は、「気軽に一緒に遊べる友人が多い」は減少傾向、「生きがいとなるような趣味やライフワークがある」が増加傾向、「1人の生活を続けても寂しくない」が増加傾向になっていました。

DINKS(選択子なし)は、独身に近い感覚を持っているものだと勝手に思っています。独身の友人曰く、それは大きな間違いらしいですが、この統計からもDINKSでいる理由も独身でいる理由に近いような気がしてなりませんでした。

「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」の減少傾向について、男性の子育て参画により「家族」がより重視され、社会<家族になりつつある世の中を表しているのではないかと思います。年齢を重なるにつれて子持ちが増えていき、子どもがいることが当たり前にとらえる人生の友人が増えます。昔の男性は、女性に家で子育てをさせて男の付き合いができたかもしれませんが、最近は男性も育児参加が求められることから、子持ちと子なしの断絶感はより強まっており、それは今後も続いていくのかなと思いました。

半数が10人に1人が不妊に悩む

理想の数の子どもを持たない理由としては、高齢で産むのは嫌だから(40.4%)、ほしいけどできないから(23.9%)という理由が2010年から増えています。妻の年齢が35歳未満でも、13.7%が欲しいけどできないということで、10人に1人は不妊又は〇人目不妊に悩まされていることが分かります。ちなみに、理想的には1人以上の子どもを持ちたくても、予定は0名(子どもを持たない)と回答した夫婦のうち、ほしいけれどもできないからの選択率は61.5%です。

不妊に対する心配は2005年から増加しており、不妊を心配したり治療経験がある夫婦は結婚4年目までの夫婦でも45.6%(+15.6ポイント/2005年比)、結婚して5~9年の夫婦では47.4%(+16.4/2005年比)で、多くの夫婦が不妊に対する心配があるのが分かりました。なお、そのうち治療をしたのは約半数でした。

不妊治療の保険適用はやっと最近多くの人に適用されるように法改正されました。女性の高学歴化、晩婚化、そしてそれに伴い不妊治療が必要な人は増えており、きっとこれからももっと増えていくのでしょう。そうなると今は名前を持たない「子どもが欲しかったけど子なし夫婦」も今後増加していくのかもしれませんね。

多様な価値観と多様な人生

出生動向調査を中心にした国の統計を活用して、子なし、DINKSについて考えてみると、価値観や人生が多様化していることがよくわかります。価値観が多様化し、みんながそれぞれの人生を豊かに過ごせる時代になったのでしょう。

昭和のすごろくと揶揄された「当たりまえの理想の人生」は、もう存在せず、それぞれが自由に生きれる時代が近づいてきているように感じます。

一方で、この昭和のすごろくの価値観も根強く残っていて、年齢層によってはまだ「結婚=子ども=幸せ」の式が脳裏に焼き付いて取れな人も多いと思います。いや、私自身がそうなのかもしれません。だからこそこのようなサイトを立ち上げ、このような記事を書いているのだともいえるでしょう。

私がこのサイトを作っている理由の一つに、過去の自分がDINKSや子なしという人生で生きることに大きな不安や悩みを抱えていたことがあります。DINKSを選択した人の情報は少なく、自分の親でさえ自分という子どもがいるのですから頼りにはなりません。自分は幸せに生きられるのだろうか?そんな悩みと戦う人に共感してほしい、幸せや悩みを伝えたいという気持ちでこのサイトを作っています。

人生の選択肢が増え、価値観も多様化した今、子どもを持たない人生も当たり前のひとつなのかもしれません。それが、あたりまえだと、心から当事者全員が思える日が来ることを願っています。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

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