私は、誰もが知るブランドを持つ東証プライムの企業2社を含め、大企業→中小企業→大企業というキャリアを歩んだ30代です。
そんな私が経験した、大企業と中小企業の違いをご紹介します!企業規模を小さくすることには、デメリットが大きいかと思いきや、そんなことはありません。結局大企業に戻った私が言うのもなんですが、メリットもデメリットもあると感じます。
転職宣伝サイトは山ほどありますが、中小企業と大企業を実体験から比較する情報はあまり多くないので、転職を迷っている人はぜひ参考にしてください。なお、本来は従業員300名は大企業に該当しますが、グループ数万名・数十万名の企業と比較したとき、「企業規模を大幅に小さくした」というニュアンスで書かせていただきました。
どれも実体験を書いていますので、どの大企業や中小企業も同じだとは思わないで、一例として読んでいただけると嬉しいです。ちなみに私のケースだと、大企業は激務、中小企業はゆるふわな感じでした。
中小企業に転職してわかった意外なメリットと魅力
大企業で働いていると、中小企業の魅力は案外わからないものです。福利厚生も、会社の制度も大企業の方がよさそうだと、勝手に思っていたところがありました。
百聞は一見に如かずで、実際に中小企業で働いてみてわかった良いところから振り返っていきます。
社長の思い付きによる福利厚生。意外と充実
大企業のほうが、福利厚生が充実していると思っていました。資金力としては間違いなく大企業が勝つでしょう。ただ、正直ベースで、中小企業も思った以上に良い福利厚生がありました。
具体的には、社員旅行制度やTOEIC高得点取得による補助金制度、ドリンク無料システム、ホテルでの慰労会などです。若い人が少ない会社だったので全社員への人間ドックの補助もあり、20代前半で人間ドックを経験することもできました。
会社が小さいというのは、良い言い方をすれば「小回りが利く」、良くない言い方だと「社長の思い付きでコロコロ変わります」。従業員が少ないと、影響する規模が異なるので、小回りが利くのも納得です。
社長:頑張っている社員のために、慰労会が必要だろう
こんな一声で、社員旅行や慰労会が開催され、バブルの風を感じることができました。嫌味な言い方をしてしまいましたが、飲み会が嫌いなゆとり世代の私でも、思いのほか楽しめたことに、自分でも驚きました。今でもいい思い出です。
一方、家賃補助など恒久的に従業員の生活を支えるような制度はありません。私は夫の福利厚生が充実しているので問題ないですが、そうでない場合は、大企業から来てみると心配になる環境だと思います。
ルールやセキュリティが甘い
大企業の就業規則は分厚く、抜け穴が見つからないようなものになっています。また、機密データが絶対に漏れないようにセキュリティも厳重です。あれもだめ、これもだめと、制限ばかりです。就業時間管理も徹底されています。
中小企業は、不安になるくらいにルールが甘かったです。きっと簡単に情報漏洩してしまうだろうなぁと素人ながらに思いました。
でも、従業員としては、ルールや規則は緩ければ緩いほど、働きやすい環境です。会社のシステムも少なく小規模なので、慣れるのも早かったです。大企業に戻った今、ルールにがんじがらめにされているので、あの緩い世界は恋しい気持ちがあります。
社員全員と顔見知りになれる
大企業時代、私は人事担当者として100人程度の新人の育成をしていました。新人や同期など、頻繁にかかわる人とは知り合いになれましたが、全社員を知るなんて絶対に不可能です。また、その必要性も感じていませんでした。
小さい会社だと、全員と顔見知りになれます。
全員と顔見知りになれる、それに何の意味があるの?
昔の私なら、こう思うでしょう。でも、全員と顔見知りになると圧倒的に仕事がやりやすくなります。大企業だとキーパーソンにたどり着くのに時間がかかったり、役職の高い方だと秘書さんを経由したり大変ですが、大体みんながキーパーソンなので、無駄な仕事がありません。
また、単純に楽しいという利点もありました。会社のフリードリンクスペースで休憩を取っている間に、仲のいいto同僚と知らない人が来て、その知らない人とも仲良くなる、ということが何度もありました。
気が付けば、たった2年で全員と知り合いになります。そうすれば、仕事もしやすくなるので、転職者に優しいのは中小企業だともいえるかもしれません。
いろんなキャリアを持つ人と出会える
大企業もいろんな人を採用できるように努力しますが、多くの応募者から選考した人材、また新卒から大量採用で育てます。終身雇用の時代が終わったと言っても、終身雇用ベースの考えの人ばかり。
大企業では、とがって変わった人は少なかった印象があります。もちろん安定感のある人ばかりで良い環境です。でも、転職者も多くなかったのでキャリア的にも複数回転職者はほとんど見ませんでした。
中小企業は、応募者も少ないので様々な人が採用されています。
国際機関で働いていました
監査法人で働いてました
ヨーロッパに留学していて語学はペラペラです
SEやってました
感情豊かな人や変わった人、またキャリア的にも何社も転職していて経験豊富な人など、様々なキャラクターの人がいました。人生観も豊かで、外国に来たようなカルチャーショックを受けました。でも、若いうちにたくさんのキャリアに触れることができて、1社に勤め続けるよりも視野や人生観が広がった気がしました。
退職金の金額が高かった
大企業は終身雇用を前提とした制度が組まれており、退職金もポイント制のところが多いはずです。大企業を数年で退職するような場合、当然、退職金はもらえません。ポイントは付与されていても、自己都合早期退職により係数が0や0.1などすごい掛け算をさせられるので、大企業だと10年働いて10万円ということもあります。
中小企業は、確定拠出年金や企業年金の制度は欠けていました。健康保険も会社のグループのものではないので、保養所やスポーツ施設利用のサービスはありません。ただ、高齢の従業員が多い会社だったのもあるのか、旧時代のルールがそのまま適用されており、勤続1年から退職金がもらえるような仕組みでした。2社目である中小企業も2年でやめたのですが、60万円くらいもらえてラッキーでした。
中小企業に転職して後悔したこと
ここまでご紹介したとおり、中小企業で働くのもよかったなぁと今振り返っても思えます。
ここからは、大企業と比較して、想像できることではありましたが、もやっとしたことや後悔した時についてご紹介していきます。
名刺を出したときの相手の反応が違って悲しい
明らかな残念なこととして、イベントやセミナーで名刺交換をしたときの相手の反応が違うことがありました。これは転職するときに覚悟していたことでしたが、露骨な反応の違いは寂しいものがありました。
例えば、前職であれば名刺交換すると帰宅後にすぐに連絡が来たりしました。名刺交換した側も、良い餌が来たような、ワクワクした顔をしがちです。
でも、中小企業で誰も知らない会社で働くと、形式上名刺交換をするだけで、その後のアクションはなにもありません。自分ではなく、会社が偉かったのだ、魅力的だったのだというのは、前職の時から頭では理解していました。それでも、露骨な反応の違いは悔しく、寂しいものでした。
また、会社の説明をするのも大変です。何をやっている会社なのか、会社名でわかってもらえないので説明の必要があります。それもニッチなので説明がしにくくて毎回もやもやした気持ちになりました。
研修のラインナップがなくて残念
新卒で入った会社はメーカーだったので、1年間くらいの長い期間の研修がありました。マナーから業界知識、工場実習や営業実習など、一生その会社で働く前提で時間とお金をかけてもらっていました。また、毎年年次に応じた教育もあり、大企業は教育制度が充実していました。
研修担当をしていたのでよくわかりますが、人財育成はかなりお金がかかります。1つの研修を開催するのに数百万円かかりますし、一定の受講人数が必要なので、中小企業では難しいのも理解はできます。
私は中途採用者だったので気にならなかったのですが、社長が新卒を採ると言い出したときに心がざわつきました。他社の研修に参加させればいい、お手製の教育プログラムをやろうと言うことで、新卒でこういう会社に入社する子は、かわいそうだと思ってしまいました。
転職市場で有名企業を紹介してもらえない
名刺の話だけではなく、転職市場でもモテないのが明らかになりました。社会人2年目の時に転職サイトに登録した時よりも、社会人4年目のほうが紹介される企業の規模が小さかったです。
2社目の中小企業では、やりたい仕事を任せてもらえて、楽しくふわっと働けるゆるふわな企業でした。
ただ、そんなぬるま湯ともいえる環境に浸かり始めている自分に危機感を覚え、私は自分をより高く成長させられる環境を求めて転職したいと思うようになりました。厳しいのがつらくて1社目を辞めたくせに、またその成長必須の環境に戻ろうと考えたのです。
しかし、転職エージェントとの面談に向かうと、残念な対応を受けました。
あなたに紹介できるおすすめの会社を持ってきました!ちょっとイメージされているものと違うかもしれませんが、ご希望のキャリアを描けるような会社ばかりだと思っております。(ニコニコ)
こうやって紹介された会社のイメージが、大企業時代と違いすぎて、帰りの電車で泣いたことを今でも覚えています。
私は1社目で人事だったので「たった4年で2回の転職」という状況が良くないのは、もちろん頭では理解していました。それでも、その現実を突きつけられると過去の自分を悔いるような、誰を責められるわけもなく、悔しいような、悲しい気持ちになり、涙が止まりませんでした。
私は次は大企業に戻ると決めた。だから、それまでは転職活動し続けよう。今の会社を今すぐにでも辞めたいわけじゃないし。
転職活動開始直後は、突きつけられた現実を目の当たりにして取り乱したものの、考えを改めることにしました。私はその後、転職活動を地道に続けました。途中、活動を始めて数か月で、内定をもらって決めかけたこともありましたが、納得のいくオファーではなかったので一度辞退しました。
そこから、根気よくだらだらと1年間、行きたいところだけ応募する方式で、転職活動を続け、最終的には、絶対的に納得のいく将来性もばっちりな大企業から内定をもらえました。20代3社目にして、なぜか最初の会社よりも大きい会社に入れた奇跡に喜びが止まりませんでした。
中小企業から大企業に転職するのは難しいが不可能ではない(実際にできた)
元々想像はつくことでしたが、実体験として中小企業から規模の大きい会社に戻るのは、かなり難しいと痛感しました。私のように「ラッキー」が大切になってきます。転職はご縁ですね。3社目の会社に拾ってもらえて本当に良かったです。
ちなみに、大企業のネームがあると、自分で言うのもなんですが、非常にたくさんのお声がけを有名企業からいただけます。実験的に、3社目の会社に転職してすぐ(つまり早期退職かつ4社目に該当)エージェントにいくつか登録しましたが、たくさんのオファーをいただきました。もはや会社が本人の保証人みたいな感覚ですね。
実力でも経験でもなく、会社のネームがものをいうのは、大学の学歴と似ているかもしれません。
まとめ
大企業から中小企業に転職した実体験を振り返りました。大学生時代は、大企業の方がいいと思いがちでしたが、中小企業も働いたからこそわかる魅力があります。
とはいいつつも、私は結局、自分の成長を優先して、まったり中小企業を出てしまいましたが、人生をより豊かにする経験として中小企業の経験も良かったと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました!