DINKS当事者である管理人が、ネットでDINKSと検索すると「ずるい、自己中」と批判の言葉の数々が出てきます。DINKSとはDouble income no kidsの略で、選択子なしとも呼ばれています。子どもを持たない人生を選んだ、共働き夫婦のことです。
なぜ、少数派であるDINKSが、批判を受けるのでしょうか?
私はDINKS当事者ですが、なるべくフラットに考えてみました。
- 検索候補に批判ワードばかり出てきて不安なDINKSになるか迷っている
- なぜ批判されているのか?DINKS当事者として心配(私もそのひとり)
- 子どもを産むのが当たり前。それ以外の価値観は気持ち悪い
- 子育てが大変でDINKSが悠々自適に暮らしているのが、正直、妬ましい
- DINKS(選択子なし)が、嫌い、受け付けられない、理解できない
子持ちがずるい、むかつくと妬んでいる
「DINKS ずるい」「DINKS むかつく」と検索する人は、どういう心理なのでしょうか。
DINKSは、何に縛られることなく、自分達にだけ、お金を使って人生を謳歌できます。夫婦の時間も取れますし、趣味に使うこともできます。自己啓発で自分磨きにかけられる、お金も時間も全く違うでしょう。様々な媒体を調べたところ、子持ちの方の一部は、DINKSに対して、こんないら立ちを感じているようです。
私(子持ち)は、お金も時間も費やして、子育てをしている。日本の少子高齢化に貢献しているのに、DINKSは何もしていない。
DINKSとは、子どもを産んだら後悔すると思った人
DINKSになった理由は、子持ちの方が、子どもを産んだ理由と同じように、「人それぞれ」です。
- 自分の人生が幸せじゃなかったから、子どもにも同じ経験をさせたくない
- 遺伝性の病気があるので子どもを産まないほうが良い
- 子どもが嫌い
- 子どものいる人生にメリットを感じない
- 趣味や仕事に時間を使いたい
- 子どもが産めない(かつ、いらない)
- 経済的に子供を幸せに育てる余裕がない
- 日本や世界の将来に期待ができないので子どもが可哀そう
一言で言うと、「子どもを産んだら、後悔する」と思った人が子なし共働きを選択しています。DINKSと子持ちは、相反する状況にあります。お互いが、自分にはないものを持っています。「妬ましい」という気持ちも、お互い様です。
DINKSだって子持ちがうらやましいときもある
若手とキャリアの話をすると、必ず出るのが「子育て」というキーワード。
「ワーママ」「ワンオペ育児」「イクメン」など、子育て関連の情報は、どのメディアでも多く取り扱われます。女性だけが育休を気にする時代は終わり、今の20代は「男性も子育て」への意識はかなり強いです。男性新人から「育休も取りたい」という声は多いように感じています。
そして、「社会で活躍する社員」には、「子育て経験」がセットになりました。子育てしながら、苦労して働くパパ・ママこそが、賞賛に値するのでしょう。
DINKSのデメリットやDINKSであることに後悔した瞬間は、以下でまとめていますので、ぜひご覧ください。
社会的な少数派は、いじめやすい
次に、別の視点から考えてみましょう。
LGBTや外国人差別、スクールカーストの最下位層など、いつも「いじめは少数派に。」です。スクールカーストは三角のピラミッドで表されることが多いですが、「実際の人数分布は、ひし形」のはずです。真ん中の層が厚い「普通」ゾーン。マイノリティが差別されるのは日本だけではありません。ただ、アンケートで真ん中(中間的指標)を作ると、真ん中ばかりを選ぶのは日本人の特徴だそうです。
いつだって多数派の当たり前が『普通』になり、それを基準に社会が作られます。
人間は、敵を見下して、自分を高める生き物
人間は自分が有利な立ち位置で存在したいという心理があります。
自分と違うタイプの人をけなすことで、自分の自尊心が高まるのです。自分たち(多数派)が違うタイプの人(少数派)をけなすことで、多数派の自分が正しい、とすることで自尊心を高めています。
少子高齢化を背景とした、政府の後押し
仕方のないことですが、「少子高齢化」という日本の環境も、DINKSが批判されやすい原因のひとつではないでしょうか。
政府としては、将来の労働力となる貴重な「子ども」を国民に産んでもらわないといけません。様々な給付を用意してみたり、育休男性取得を増やそうとしてみたり、あの手・この手で必死です。政府やメディアによって、子育て関連のという言葉の価値は、高められました。
社会的にも子どもを産むべきという同調圧力がさらに高まりました。
これが、「子どもを産まない奴は悪者なのだ」という批判になったとも考えられます。次のように政府は「出産、子育て、不妊治療」に補助を出すようになっているので、国を挙げて子育てを応援していることがよくわかりますね。
国は子育てにどれくらいお金をかけているのか調べてみました。結果として、合計336万円もらえる+税金免除になるようです。(月収20万と仮定して計算)もちろん、これで子育てに十分かというと、違うのでしょうけど、子ども1人に対して、以下のようにたくさんの補助制度があるようです。また、2022年現在、更に手当を増額させる話もあがっているようですし、地方自治体によっては、もっともらえるところもあるようです。
- 妊婦検診助成 平均14回分(約10万)
- 出産育児一時金(子ども1人当たり42万)
- 出産手当金(標準報酬日額の3分の2。月給20万だと約44万)
- 育児休業給付金(休業開始時賃金日額の67%※180日経過後は50%だが条件付きで最大2歳の誕生日前日までもらえる。)※2歳までもらうと月収20万だと合計240万
- 産休育休期間の社会保険料全額免除。
不妊治療でもらえるお金は最大180万
不妊治療って、「必要な人に補助金が届かない仕組み」だったのをご存知ですか?夫婦合わせて730万未満以外は補助金がもらえない仕組みだったのです。誰をターゲットにしていたのでしょうか・・・。
そんな不妊治療も、やっと補助金がもらえるようになりました。年齢が上がれば、不妊の確率が上がり、所得も上がる。不妊の確率が高まった人たちは所得が高いので、もらえない人が多かったはず。2020年からは所得制限はなくなり、1回30万。年齢制限はあれど、40歳未満であれば最大6回まで1人の子につきもらえるようになりました。
DINKSは、子どもがいない人生を選択した人たちなので、不妊治療は必要ないかもしれません。でも、不妊治療の結果、「子どものいない人生」を選んだ人もいるはずです。不妊治療にはお金がかかるので、子どもが欲しい夫婦にはうれしい施策です。
「子どもを優先すべき」という圧力が子持ちを圧迫
「DINKS うざい」「DINKS むかつく」と、一部の子持ちが、DINKSを。言葉でぶん殴らなければ、気が済まない世界になっているのは、子持ちのストレスが大きいことも原因の一つではないでしょうか。
欧米なら、「子どもをシッターに預けてデートに出かける」ということも普通のことです。寝室だって、子どものころから、親と分けて寝ます。これは、親の夫婦の時間を大切にするためだそうです。欧米では親の時間を大切にすることが当たり前の価値観で、子どもは子どもの人生、親は親の人生を楽しんでいます。
親になると夫婦でデートも許されない
日本では、親になるとデートもできません。親世代は専業主婦が多いです。日本では、「子どもを育てるために、自分の人生は”捨てて”、すべてを懸けるのが当たり前」という考え方の人が多いでしょう。
成功体験が生む更なる悲劇
「自分は我慢してきた、そしてお前がうまく育った、だからお前も我慢しろ」理論
自分が嫌だったことを、相手にも押し付けるか。自分が嫌だったから、相手にはそうさせないか。
これは人間のレベルが問われるところです。前者の人が、意外と多いです。残念ながら、その我慢が子の成長という形で、うまく実ってしまっているので、「成功体験」という裏付けを、覆す根拠が見つかりません。子どもを放っておいて、良い子どもに育つのか、保証ができません。そして、「あとでいろいろ言われるくらいなら」と、窮屈な思いをせざるを得ない。
親が楽しむという概念は存在しない
日本では遊園地や何らかのイベントなどで、子どもが楽しむ姿を親は撮影したり見守っているという光景をよく見ます。これが日本の当たり前ですよね。
海外留学していた時、文化の違いで驚いたことの一つに、大人がイベントやアトラクションを本気で楽しんでいることが挙げられます。これ、子ども用じゃないのか?というイベントやアトラクションも、親が一緒になって無邪気に楽しんでいます。「子どもが楽しんで、大人が見守る」という概念がないわけではないと思いますが、日本ほど強くありません。
子持ちにむかつくDINKSが悪い?
私は、子どもが外で騒ぎ散らかしてもいいとは思いません。ベビーカーを満員電車に、我が物顔で乗せていいとも思いません。
他人の迷惑を許してあげる
日本では「他人に迷惑をかけるな」と教わり、育ちます。私の会社のメール文でも、ご迷惑おかけし申し訳ございません、と謝ってばかりです。
インドでは「あなたは他人に迷惑をかけているのだから、他人の迷惑も許してあげなさい」と教わるそうです。
DINKS批判の一つに、「子どもを産まないなら、将来我々が育てた子供から、介護を受けたりするなよ」というものがありました。これに対して、DINKSが「こっちは、子持ちがが育休や産休を取って休んだり、補助金もらっている間に、控除なしの多額の税金払ってるんですが、なにか?」と、言い返せばいいのでしょうか?
言い争いは尽きません。論破しあっても、何も解決しないでしょう。アンチコメントを書きあって、批判しあっても、何も生まれません。
心理学的にも、相手に何か良いものを与えることで、人は幸せになれるそうです。
DINKSも幸せに暮らせる世の中になってほしい
私は、DINKSであることに、後ろめたさや生きにくさを感じています。それも含めた「自分の選択」なのですから、受け入れるべきなのでしょう。でも、もう少し「子どもがいるのが当たり前」、「子どもが欲しいのが当たり前」、「子どもがいるから偉いのだ」という社会の圧力がなくなるといいなと思うのです。「結婚10年、夫婦二人で暮らしています」といったときに、変な顔されない世の中になってほしいです。
DINKSのメリットについて考えてみた記事もあるのでぜひご覧ください!最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!